マニラの社会的企業のインターン生が語る ソーシャルツーリズムとは

国際協力

こんにちは!MAD Travelインターンの矢野です。
現在、夏休みをつかって
4週間のインターンをしています。

MAD Travelは誰でも参加できる「旅」を通して、フィリピンのさまざまな社会課題を解決することをミッションとしている旅行会社です。フィリピン現地のコミュニティと協働しながら、持続可能なソーシャルツーリズムという旅のかたちをお届けしています。

今回は、フィリピンのコミュニティや、MAD Travelについてもっと知ってもらうために、私が参加した初めてのツアー体験をご紹介します。

私はこのツアをーを通して身をもってMAD Travelのツアーの価値を実感しました。

参加したツアーはDiscovery Summer Camp~アートとコミュニティの可能性を探る旅~」です。

Discovery Summer Campツアーの概要

2013年末の台風ヨランダの被災から5年が経つレイテ島タクロバン。高潮によって流された貧困地区の住人が移住を強いられたNew Hope Villageがそこにはあります。

コンクリートの建物が無機質に立ち並ぶこの村。安全を手に入れたとはいえ、1つのコミュニティとしての活気は失われかけています。

「この村の現状を変えたい。」
NPO法人Studio on siteによって村のコミュニティースペースが建てられました。

今回のツアーのミッションは、この建物を中心に「コミュニティ活性化のお手伝いをすること。」
旅するエンターテイメント集団NPO法人Les Worldのアーティストをお招きし、彼らと共に村が1つとなるような絵をチャペルのゲートに描きました。

MAD Travelは、これらの取り組みを旅行会社としてコーディネート。
村に人を呼び込むことで、村に利益をもたらし、この事業を持続化する役割を果たしました。

ツアー初日にタクロバンの海辺の被災地を見学し、堤防建築現場、津波で陸に流れ着いた船のモニュメント、被災後のスラム街の生活などを見ました。

2日目にはNew Hope Villageに移動し、参加者全員が村人の家にホームステイをしました。彼らと共に食事をとり、共に語らい、共に寝るなど、村人たちと同じ生活をすることで、彼らに寄り添い、彼らと向き合いながら、ペイントの案を練り、4日目にゲートのペイントを完成させました。

最終日にはフィリピンの豊かな自然に触れるアクティビティを体験しました。

貧困地域の再居住区域New Hope Villageで過ごした3日間

タクロバン中心部からジプニーを2つ乗り継いで、緑以外何もない道を5分ほど歩くと、不意に小さな広場に建てられた竹を素材として使ったチャペルが現れます。周りにたくさんの家々も見えます。

これがNew Hope Villageです。

村の幅の広い道の両脇に、コンクリートの箱のような小さな家が無機質に立ち並んでいます。狭い道の両脇に家々が密集し、楽しい雰囲気とは、かけ離れた光景のように感じました。

そんな風景を感じつつも、村の人々の歓迎ムードに包まれながら、私たちの2泊3日の村でのホームステイ生活がスタートしました。

経済的貧しさ、心の豊かさ、家族の愛

建築家やアーティストとコラボした今回のツアーでしたが、子どもが好きな私は、ツアー参加者として、3日間の多くの時間を子どもたちと話したり、駆け回ったりして過ごしました。

しかし、さっきまで遊んでいた子どもが、パンを売りに街へ出かけたり、水を満足に飲めない子どもが水を持つ私の周りに群がるようになったり、無邪気な子ども達の中に経済的貧しさが垣間見えました。

それでも、彼らはキラキラした笑顔で、家族、友達、村、フィリピンへの愛を私に伝えてくれました。自分が幸せだとさえ言いました。彼らの経済的貧しさについては本人たちも確かにわかっているようでしたが、それを感じさせないほどの子どもたちのたくさんの笑顔が強く印象に残っています。

ホームステイ先の家族も同様です。

彼らと共に食事をし、硬いコンクリートの床に薄いマットを敷いて、家族4人と一緒に寝ました。大きなバケツに溜まった冷たい水で身体を洗いました。

彼らの生活環境は決して良いとは言えません。

それでも彼らは、ホームステイに来た私のためにココナッツジュース、品数の多い食事、たくさんのおもてなしをしてくれました。食事はとてもおいしかったし、ホストファミリーと過ごした3日間は本当に楽しかったです。

私のホストファミリーはほとんど英語が話せず、言葉の壁もありましたが、お互いにコミュニケーションをとろうと努力し続けました。

私が村を離れる最終日は、ホストシスターの誕生日でした。
その前の日にホストマザーは、「娘の誕生日にお金がないから何もできない」と恥ずかしそうに私に言ったのです。だけど当日、朝からみんなで歌ったり、抱きしめたり、何度もおめでとうと言って、精一杯祝っていました。胸がキュッーっとする瞬間でした。

最終日に「元気でね、ありがとう」と泣きながら言ってくれたホストマザー。
ホームステイを通して、経済的な貧しさの中に、彼らの心の豊かさ、大きな愛を感じました。

しかし一方で、初めて貧困地域での生活を経験し、現地の人々と交流し、生活の不自由も見た私は、貧困のサイクルを断ち切って子ども達の可能性をもっと広げたい、もっと自分に何かできないのかという気持ちでいっぱいになりました。

建築×アート×ツアーでコミュニティーを活性化

NPO法人Les Worldの3人のアーティストによる構想を中心に、村の生活で感じたことを踏まえながら、村のコミュニティの活性化を願って、Studio on_site、MAD Travel、ツアー参加者一同でペイントのアイデアを練りました。

背景はNew Hope Villageの夕暮れの空。中心には太陽。また、円を人の命の象徴として、子ども達をはじめとする現地の方々にたくさんの円を手で描いてもらいました。また、この村の生活、人々の雰囲気を波として表しています。

円を描く子ども達の輝く笑顔がとても印象的でした。New Hope Villageに日本人が建てた竹のチャペル。村の人々が制作に加わったペイントによって、彼らにとってこのチャペルがもっと身近なものになったはず。

村の憩いの場となりますように。
村が元気な楽しい雰囲気を取り戻しますように。

この絵にはそんな願いがこもっています。これからもこのコミュニティの力になりたい。

私たちの取り組みは続きます。

タクロバンの自然

最終日は、タクロバンの国立記念公園で、大自然の中でゆったりと疲れを癒やします。真っ暗の洞窟を探検したり、自然の中で昼食をとったり、カヌーに乗ったり、雄大な自然に触れました。

騒々しく車が行き交うマニラに滞在している私は、フィリピンの新たな魅力に気付かされました。

最後に

ボランティアでもスタディツアーでもない、ソーシャルツーリズムという旅。私自身、このツアーに参加し、実際に現地の人と交流する中で、ここには書ききれないほどの気づき、言語化できない感情が生まれました。

人々のあたたかさ、自然の豊かさなど、フィリピンのいいところも新たにたくさん発見しました。

「現地に行ってわかることがある。」

MAD Travelは旅人と現地のコミュニティをつなぐプラットホームとしてこれからも社会にインパクトを与え続けるのだと私は確信しました。

これを読んでくださった皆様がMAD Travelのツアーにご興味を持ってくだされば幸いです。

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