#value!代表として、現在カンボジアで活動する原畑実央氏のインタビュー記事。なぜ原畑氏が社会問題に関心を抱き、どうやって現在のソーシャルグッドなサービス#value!を生み出し、今に至るのか。お話を伺っていくと、この時代の仕事の意義や心地いい未来の社会が見えてきました。
世界の社会起業家とマッチングするサービス
– 本日は原畑実央さんついて、そして代表を務めるサービスについてお聞きしていきます。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。#value!代表のハラハタミオです。愛媛県の松山出身で、現在はカンボジア在住です。
– 早速ですが、原畑さんが代表を務められている#value!というサービスについて教えてください。
#value!は、世界の社会起業家とのマッチングよって社会問題解決をするプラットホームです。社会問題に取り組んでいる現地社会起業家を知り、応援、協業できるプラットホームを作りました。
– 社会問題への直接的なアプローチではなくプラットホームを使った繋ぐ役割を担おうと思った理由はありますか?
社会問題は世の中に溢れるほどありますが、そういった問題は気づいたひとの全てが直接的なアプローチができるわけではありません。そこで、現地社会起業家たちと社会問題に取り組みたい個人や企業をつなぐマッチングサービスを作れば、社会的なインパクトを持って役に立てると思いました。
純粋な思いが道しるべになった
– マッチングサービスといってもいろんなカタチがあると思いますが、きっかけや今のカタチに至るまでに紆余曲折があったのでしょうか。
はい。現在はイベントを開催し、オフラインでもマッチング機会を創出しています。#value!がイベントも開催するようになったキッカケは、カンボジアでゴミ拾いや啓蒙活動などの環境活動をしているパディというカンボジア人の社会起業家がいて、彼の素晴らしい活動を知ってもらいたくて、活動についてプレゼンをしてもらうイベントを開いたことでした。
– なるほど。サイト上でのマッチングだけではなくて、マッチングの機会を創出する実際のイベントも提供されていらっしゃるんですね。
そうです!現在はカンボジアでも、日本でもそういったマッチングの場を作っていて、実際に法人の方と協業する例も出てきています。はじめは、こんなすごいカンボジア人社会起業家がいるんだよ!って知ってほしい一心で創出した場でした。
– メディアの側面が強いサービスから始まって、実際のマッチングの場づくりにも力を入れられている点が素敵だなと思います。反響や手応えはありましたか。
はい。パディとのイベントをきっかけに、「一緒に環境活動に取り組みたい」という方や「一緒にワークショップを開催したい」という方が現れて、社会起業家や活動にきちんとスポットライトを当てて、場を提供するとこうやって繋がっていくのだなということを実感しました。
– そういった経緯をへて、メディアの側面と実際にマッチングの場を提供する側面の二つを併せ持った#value!の現在のサービスになっていったわけですね。
はい。最初はメディアの側面が強かったのですが、マッチングに特化したいと思って、マッチングサービスを提供する#value!を設立しました。実は当初は#value!という名前もついておらず、形が見えてきた段階で現在の名前をつけたんですよ。
– 原畑さんが自発的にやってきたことに型ができてきて、#value!という名前がついたという感じですね。今後とても楽しみですね。
そうですね。まだまだ始まったばかりの試みではありますが、何をやるべきかがみえてきたので、そこを一つ一つクリアしながら社会起業家やユーザーの意見を反映しつつ、試行錯誤していけばいいなという状況です。
意識高い系?ナニソレ
– では、ここからは原畑さんのことについて少しお話伺っていきます。主にカンボジア渡航前は、日本でどういったことをされていたかをお聞きします。アクティブな印象が強い原畑さんですが、大学在学中はどのように過ごしましたか。
大学では社会問題をディスカッションする団体を立ち上げたり、愛媛で社会活動をしている人たちを知ってもらうためのイベントやツアーを開いたりしていました。当時からやっていることはあまり変わってないですね。世間の言うところの、意識高い系ってやつですかね笑。
– 大学生の時もすでに色々と行動されていたんですね。何かそういった活動に興味を持ったり、活動を始めたきっかけがあるんですか。
きっかけは原発事故です。伊方原発も近いし、松山で被災した方に向けて活動している人たちも知っていたので他人事ではなかったですね。しかし当時、それを先輩や周りの人に話すと、「どうしたの急に?」とか「真面目か。」と言われることが多くて、ここに根本的な問題があるなと感じました。
– 議論する場がないことが問題だということですか。
はい。原発が正しいか間違いかということは置いておき、一人一人が自分で考えなかったことに問題があると思いました。もし、一人一人がちゃんと関心を持って真剣に考え、議論していたら違う結果もあったんじゃないかと。社会について一人一人が考えることで社会は変わっていくのではないかと感じて、在学中に社会問題をディスカッションする団体を作りました。
「イイものを世界へ。地方の雇用を守りたい。」
– おっしゃる通りだと思います。一人ひとりの意識というのは、現在の日本で様々な問題に当てはまる気がします。それにしても、場がなければ作ってしまおうという発想は今も#value!に活きてますね。卒業後にカンボジアですか?
いいえ、上京してアリババジャパンで一年半勤めました。アリババのプラットホームを使って日本の製品の海外進出の支援をしていました。
– アリババなんですね。面白いです。何かきっかけや理由があったんですか。
アリババは世界最大のBtoBのプラットフォームです。私はずっと社会の役に立ちたいと思っていて、そのためにはインパクトは大事だなと思っていたことと、当時の日本の社長が地方の雇用を守りたいとおっしゃっていて、地方で製造されている質の高い製品が、適正価格で海外に売れることによって彼らはいいものを作り続けることができるし、地方の雇用が守られると考えました。
– そこをやめられてカンボジアに?
一番大きかったのは、私のオリジナルであるところの社会の役に立っているという実感が欲しいという気持ちが転職の際には大きな軸だったと思います。
– あそこまで大きい企業だと、実感や裁量という面では難しいのは仕方ないことだと思います。ただ、答えを出してから行動するまでのスピードがすごいですね。
それで発展していない国の社会の中に入り、学ばせてもらいたいと、転職活動を始め、人材紹介会社に相談していたところ、「うちにくる?」と言われ、カンボジアの人材紹介の会社CDLに決めました。決定打になったのは、「コネクションがない人でも、いい仕事が見つかるためのマッチングプラットフォームをつくりたい。」という社長の言葉でした。
シンプルな原動力と本質的な問題解決を
– ここからは、雑多に質問していこうと思います。私は良い悪いも定かではないこの世界で、社会を良くするってなんだろうなってふと考えてしまったりするんですけど、その辺り考えられたこととかありますか。
私の中では自分自身の問題で、そういった問題を目にするとテンションが下がるんです。カンボジアで子供が夜中まで働いてる現状や町中にゴミが溢れていること、障がい者の人が道路で物乞いしていることを自分が見ていることが悲しいから何かやりたいって感覚です。何もできない中でも何かやりたいという気持ちです。
– なるほど。すごくシンプルで、腑に落ちる感じがしますね。
私はどんな仕事も社会課題の解決だと思っていて、あとは方向性の違いだと思っています。私はこの道を選んだけど、他の人は音楽だったり絵だったり。何をやるかはそれぞれの価値観ですかね。自分のやりたいことをやっているだけ。
– 大それた目標やかっこいいことではなく、自分がやりたいからやるんだ、ということですね。
はい。それを踏まえて、今の#value!の方向性は本質的な問題解決に近いと思っています。なぜなら、現地に生まれた彼ら自身の原体験に基づいて、立ち上がった社会起業家の活動にスポットライトを当て、それを原動力に動いているサービスだからです。彼らが感じた問題だからこそ、カンボジアで同じように辛い思いや、悲しい思いをしている人は多いと思っていて、それを解決すると単純に笑顔になる人が増えるんじゃないかなと思っています。
– 現地の問題は現地の人たちで解決する。そう考えると、冒頭でなぜ直接的なアプローチではなく、プラットホームだったのかという問いに対する、もう一つの答えでもあるような気がしますね。
私は一緒にやっている社会起業家さん達を信じています。彼らの活動を前進させるマッチングをつくることで、よりよい未来がつくれると信じています。
– 最後まで軸のぶれない芯のある受け答えでした。ありがとうございました。それでは読者に向けて最後に一言お願いします。
#value!では、社会をかえるつながりを一つでも多く生み出そうと、世界の社会起業家とのマッチングサービスを展開しています。社会起業家が取り組む事業は、医療、福祉、環境、食品、モノづくり、インフラ、交通、教育、芸術など多岐にわたり、現在、現地社会起業家との協業、情報交換、インターンシップなどのマッチングが生まれています。
ぜひ、社会に対して何かアクションを起こしたい方、お気軽に#value!までご連絡ください!
私たちでつくりたい社会をつくりましょう!!